GOLF BODY GUIDE

ゴルフと腰痛
スイングと身体機能の関係

ゴルフは身体を大きく回旋させながらクラブを振るスポーツです。
腰に痛みを感じると「腰そのものに問題がある」と考えがちですが、実際には腰部だけでなく、胸椎や股関節の動き、身体の安定性、スイング動作、練習量など複数の要素が関係する場合があります。
まず症状の安全性を確認し、そのうえで身体機能と動作を評価することが重要です。

ゴルフで腰が痛くなることがあるのはなぜ?

ゴルフスイングでは、回旋・前傾姿勢・側屈・伸展・加速・減速といった複数の動きが短い時間の中で組み合わさります。さらに、練習での反復、ラウンドによる長時間の活動、疲労なども身体への負荷に関係します。

ただし、「この動きが腰痛を起こす」と単純に言い切ることはできません。腰痛の発生には個人差があり、身体機能、既往歴、練習量やラウンド量などの負荷、日常生活の要素など、複数の要因が関係する可能性があります。だからこそ、一律の対処ではなく、一人ひとりの状態を確認することが出発点になります。

ゴルフスイングと腰部の動き

ゴルフスイング中、身体は一つの部位だけで動いているわけではありません。足部から下肢、骨盤、体幹、胸郭、上肢へと、全身が連動して動きます。腰部・骨盤周囲も、その連鎖の一部として動作に関与しています。

足部 下肢 骨盤 体幹 胸郭 上肢

そのため、「腰を回せばよい」「腰を固定すればよい」という単純な捉え方では、スイングと腰部の関係を十分に説明できません。身体全体の運動連鎖の中で腰部がどのような役割を担っているかを考える必要があります。運動連鎖の考え方はPERFORMANCE FILE 006「運動連鎖」でも解説しています。

腰だけを見るのではなく、身体全体を見る

胸椎や股関節などの動きが制限されている場合、スイング中の身体の使い方に影響する可能性があります。
そのため腰痛を評価する際には、腰部だけでなく周囲の身体機能も確認します。

胸椎・胸郭

回旋をはじめとした動きを確認します。スイングの回旋動作に関わる部位です。

股関節

回旋や可動性、左右差などを確認します。下半身と体幹をつなぐ要となる部位です。

骨盤・体幹

動作中の安定性やコントロールを確認します。姿勢の保持にも関わります。

下肢

下半身での支持や動作を確認します。地面からの力の伝達に関わる部位です。

※ これらの部位の硬さや制限が腰痛の原因であると一律に断定できるわけではありません。あくまで「評価で確認する候補」として全体を見ることが大切です。

身体機能評価では何を見る?

ゴルファーの腰痛に関する身体機能評価では、たとえば次のような項目を確認します。これは医学的な診断ではなく、身体の状態と動作の関係を整理するためのプロセスです。

  • 痛みが出る動作
  • 腰部の動き
  • 胸椎・胸郭の動き
  • 股関節の可動性・左右差
  • 体幹の安定性
  • 下肢の支持
  • 基本動作
  • 必要に応じたゴルフ動作
身体機能評価 動作評価 課題整理 必要なアプローチ 再評価

「腰が痛い=腰をストレッチ」ではない

腰に痛みがあるとき、「とりあえず腰を伸ばす」「腰を強く揉む」「体幹トレーニングをする」といった対応を一律に行うことはおすすめできません。症状や身体の状態によって、適切な対応は異なります。

痛みのある状態で無理なストレッチや運動を行うと、状態に合わない負荷になる場合があります。まず状態を確認し、そのうえで必要な方法を選ぶことが大切です。

「身体が硬い=ストレッチ」だけではない理由についてはこちら →

痛みがあるとき、トレーニングしてもいい?

「痛みがあるから必ず運動を中止する」または「痛みがあっても必ず運動した方がよい」という一律の判断はできません。症状の種類、程度、経過、動作との関係などによって対応は異なります。

まず状態を確認し、医療機関での評価が必要か、負荷を調整するか、いま可能な運動を選択するかを検討することが重要です。痛みを我慢してトレーニングを続けることはおすすめしません。

医療機関への相談を考えたい症状

速やかに医療機関への相談を考えたい症状

以下のような神経の症状を伴う場合は、様子を見るのではなく、速やかに医療機関へご相談ください。

  • 排尿・排便の異常が新たに現れた
  • 会陰部(またの間)周辺の感覚に異常がある
  • 明らかな、または進行する脚の筋力低下がある
  • 両脚に強い神経症状(しびれ・脱力など)が現れている

こうした症状には、緊急性の高い状態が含まれる可能性があります。本ページで診断はできませんが、該当する場合は早めの受診をおすすめします。

医療機関への相談を検討したい症状

以下のような症状や経過がある場合には、セルフケアだけで判断せず、医療機関への相談を検討してください。

  • 強い外傷(転倒・衝突など)のあとに腰痛が出た
  • 強い痛みが続いている
  • 安静時や夜間にも強い痛みがある
  • 発熱など全身症状を伴う
  • 下肢に強いしびれがある
  • 症状が急速に悪化している

これらの症状は、単独で特定の病気を意味するものではありません。当てはまらない場合でも、不安があるときは医療機関に相談して構いません。ゴルフに限らない一般的な腰痛については腰痛でお困りの方へもご覧ください。

ゴルフ復帰を考えるとき

「痛みがなくなったから、すぐにフルスイング」という考え方はおすすめできません。ゴルフへの復帰では、状態に応じて段階的に負荷を戻していく考え方があります。以下はその一例です。

日常動作 基本的な身体機能 ゴルフに必要な動作 軽いスイング 練習量 ラウンド

ただし、この流れは医学的に定められた復帰基準ではなく、段階的に負荷を戻す考え方の一例です。「この順番をクリアすれば復帰できる」というものではなく、症状の経過、身体の状態、競技レベルによって段階の進め方は一人ひとり異なります。状態を確認しながら進めることが大切です。

MIKI C. Golf Performanceの考え方

兵庫県三木市のいろどり鍼灸接骨院が提供するMIKI C. Golf Performanceでは、ゴルファーの腰痛に対して「腰だけ」を見るのではなく、まず症状と身体の状態を確認します。

必要に応じて身体機能評価や動作評価を行い、腰部だけでなく、胸椎・股関節・体幹・下肢など、ゴルフ動作に関わる身体機能を確認します。そのうえで、状態や目的に応じてコンディショニング・施術・エクササイズ・トレーニングなど必要なアプローチを検討します。

医学的な評価が必要と考えられる場合は、医療機関との連携を大切にしています。

よくある質問

Q. ゴルフをすると腰が痛くなるのはなぜですか?
A. ゴルフスイングでは回旋や前傾姿勢など複数の動きが組み合わされ、練習やラウンドで動作を繰り返します。ただし、腰痛の要因は一人ひとり異なり、身体機能、既往歴、負荷量など複数の要素が関係する可能性があります。
Q. ゴルフの腰痛はストレッチで改善しますか?
A. 腰痛の状態や背景によって必要な対応は異なります。腰部のストレッチがすべての腰痛に適しているわけではないため、症状や身体機能を確認したうえで方法を選ぶことが重要です。
Q. 股関節が硬いとゴルフで腰痛になりますか?
A. 股関節の動きがゴルフスイングに影響する可能性はありますが、股関節の硬さだけが腰痛の原因とは限りません。腰部だけでなく胸椎、股関節、体幹、下肢など身体全体を確認することが大切です。
Q. 腰が痛くてもゴルフを続けてよいですか?
A. 症状の種類や程度によって異なります。強い痛みやしびれ、筋力低下などがある場合は、ゴルフを続ける前に医療機関への相談を検討してください。特に、排尿・排便の異常や会陰部の感覚異常、進行する筋力低下を伴う場合は、ゴルフ継続の判断よりも速やかな医療機関への相談を優先してください。
Q. 腰痛がある場合でもトレーニングできますか?
A. 症状や身体の状態によって異なります。状態を確認し、必要に応じて負荷や運動内容を調整することが重要です。医学的な評価が必要な場合は、医療機関への相談を優先します。

解説:市川竜太(いろどり鍼灸接骨院 院長/柔道整復師・厚生労働省認定専科教員)
兵庫県三木市のいろどり鍼灸接骨院にて、ゴルファーの身体機能評価・コンディショニング・トレーニング(MIKI C. Golf Performance)を担当。
※ 本ページは一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断を行うものではありません。症状がある場合は状態の確認を優先してください。

医学的安全情報の参考:
・NICE(英国国立医療技術評価機構)NG59「Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management」(2016年公開/2020年更新)
・American College of Radiology「ACR Appropriateness Criteria — Low Back Pain」(2021年改訂:馬尾症候群・骨折・感染・悪性疾患を疑う場合の評価を含む)
※ 上記は医療機関への相談を考えたい症状の整理にあたり参照した公的資料です。個別の症状の判断は医療機関にご相談ください。